コラム
蓄電池電気代

蓄電池の容量、何kWhを選べばいい?逆算で決める考え方

蓄電池を検討しはじめて最初に迷うのが、容量です。カタログには 5.0kWh、9.8kWh、13.5kWh、16.6kWh といった数字が並びますが、この差が生活の何に効くのかは分かりにくいところです。

結論から言えば、容量は「夜に何を、どこまで動かしたいか」から逆算するのが正解です。この記事では、その考え方と、カタログを読むときの注意点をご紹介します。

カタログの数字の読み方

定格容量と実効容量は違います

カタログに大きく書かれているのは定格容量ですが、実際に取り出せるのはその全部ではありません。電池を完全に使い切ると劣化が早まるため、下限を残す設計になっているからです。

実際に使える分は実効容量として別に記載されていることが多く、定格の8〜9割程度が目安になります。比較するときは、この実効容量で揃えてください。

出力(kW)も見てください

容量(kWh)が「どれだけ貯められるか」なら、出力(kW)は「同時にどれだけ流せるか」です。容量が大きくても出力が小さければ、消費電力の大きい家電を同時に動かすことはできません。

容量と出力の違い
水に例えると、容量はタンクの大きさ、出力は蛇口の太さです。
タンクが大きくても蛇口が細ければ、一度にたくさんは出せません。

動かしたいものから逆算する

必要な容量は、次の手順で見当がつきます。

ステップ1:夜に使う量を知る

1日の電力使用量のうち、日没後に使う割合はご家庭によって大きく異なります。共働きのご家庭なら夜に偏り、日中在宅なら昼にも分散します。おおまかには、1日の使用量の半分前後が夜間と考えると出発点になります。

ステップ2:非常時に動かしたいものを決める

停電時にどこまで求めるかで、必要量は変わります。

冷蔵庫・照明・通信だけ1日あたり およそ 1.5〜2kWh
上記+テレビ・調理1日あたり およそ 3〜4kWh
上記+エアコン1日あたり およそ 6kWh以上(使い方による)

ステップ3:大きすぎないかを確かめる

容量は大きいほど安心ですが、価格もそのぶん上がります。そして昼の余った電気だけでは満たせない容量は、活かしきれないことがあります。夜間の電気で充電する使い方もできますが、昼に貯められる量を大きく超えるタンクは、空き容量にお金を払うことになりがちです。

太陽光の容量、日中の消費量、夜間の消費量。この3つのバランスで決まるので、蓄電池だけを単独で選ぶのはおすすめできません。

全負荷型と特定負荷型

全負荷型停電時に家じゅうの回路が使えます。200V機器にも対応する機種があります。本体価格は上がります
特定負荷型あらかじめ決めた回路だけを生かします。価格を抑えられますが、どの部屋を選ぶかを設計時に決める必要があります

もうひとつ、単機能型とハイブリッド型という分け方もあります。ハイブリッド型は太陽光のパワコンと蓄電池のパワコンが一体になっており、変換ロスが少なく設置もすっきりします。すでに太陽光を設置済みで、パワコンの交換時期が近いご家庭では、ハイブリッド型への切り替えが合理的な場合があります。

寿命と保証の見方

蓄電池の寿命はサイクル数で示されます。1サイクルは「満充電から放電しきるまで」の1往復です。1日1サイクル使うとすれば、6,000サイクルはおよそ16年に相当します。

あわせて確認したいのが保証の中身です。「10年保証」と書かれていても、何が対象なのかは製品によって違います。

  • 機器そのものの保証年数故障したときに無償で修理・交換されるか。
  • 容量保証何年後に定格の何%を維持するか、という保証。劣化に対する保証です。
  • 工事に対する保証設置に起因する不具合が対象かどうか。機器保証とは別ものです。

経済性は成り立つのか

正直に書きます。蓄電池は、電気代の削減だけで初期費用を回収しようとすると、条件次第では厳しくなります。

蓄電池が生み出す価値は「売るはずだった電気を、買うはずだった電気に振り替える」ことです。したがって、得られるのは買電単価と売電単価の差の部分だけです。

1kWh を貯めて使うと
得られる価値 = 買う電気の単価 - 売る電気の単価
充放電のロスもあるため、実際にはこの差より少し小さくなります。1日に何kWh回せるかを掛ければ、年間の効果が出せます。
この差が大きいほど、蓄電池の経済性は良くなります。

だからこそ、卒FIT後に蓄電池を検討する方が多いのです。売電単価が下がったあとは、この差が広がるためです。

そして経済性だけが判断軸ではありません。停電時の安心をどう評価するかは、ご家庭ごとに違います。数字で出せる部分と出せない部分を、分けて考えてください。

設置場所の条件

意外と見落とされるのが、置き場所です。

  • 重量機種によっては100kgを超えます。屋内設置では床の強度、屋外では基礎が必要です。
  • 寸法とスペース本体の周囲に放熱と点検のためのスペースが要ります。カタログの寸法どおりには置けません。
  • 温度環境直射日光や高温は劣化を早めます。西日の当たる壁面は避けるのが基本です。
  • 屋内か屋外か屋外設置型は場所を選びやすく、屋内設置型は温度環境が安定します。機種によって対応が分かれます。
  • 分電盤からの距離離れるほど配線工事の費用が増えます。

現地調査では、この置き場所の確認が必ず入ります。図面上は成立しても、実際には室外機や給湯器が先にあって置けない、ということは珍しくありません。

補助金について

蓄電池は、国や自治体の補助金の対象になることがあります。制度は年度ごとに要件・金額・予算枠が変わり、申請期間も限られます。

注意したいのは、着工前の申請が条件になっている制度が多いことです。工事を始めてからでは間に合いません。検討の初期段階で、使える制度があるかを確認しておいてください。

太陽光がなくても蓄電池だけ設置できますか?
できます。夜間の安い電力を貯めて昼に使う運用や、停電対策としての導入です。ただし太陽光と組み合わせたほうが、貯める電気のコストが下がるぶん効果は大きくなります。
電気自動車を蓄電池代わりにできますか?
V2H機器を設置すれば可能です。電池容量は家庭用蓄電池の数倍あるため、非常時の心強さは格段に上がります。ただし車が出かけている間は使えない点が、据置型との違いです。
あとから容量を増やせますか?
増設に対応した機種であれば可能です。将来の増設を考えているなら、その前提で機種を選んでおく必要があります。
「これだけは止めたくない」から決めます

停電時に動かしたいものを教えていただければ、必要な容量と出力、全負荷か特定負荷かまで含めてご提案します。

まとめ

蓄電池の容量選びは、カタログの数字を比べる作業ではありません。ご家庭の暮らし方から必要量を逆算し、太陽光の発電量とのバランスで決める作業です。

迷ったときは「夜に何を動かしたいか」に立ち返ってください。そこが決まれば、容量はおのずと絞り込めます。

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